アメリカ大統領選挙での民主党の敗北の根本原因は、バイデン氏が大統領選に固執し続けたことである。米国有権者の80%は、バイデン氏が繰り返す失言を年齢が原因と考え、大統領としてふさわしくないと判断していた。トランプ氏も高年齢の理由で60%がふさわしくないという調査結果が当初から出ていた。両者とも大統領にふさわしくないと国民は判断していたのである。バイデン氏80%トランプ氏60%なのは両者の年齢の差のようなものだ。バイデン氏はそれを無視し、大統領選に固執し続け、大統領選撤退が遅きに失したことが、ハリス氏の大統領選敗北の原因である。米国有権者の反バイデン票がトランプ氏に流れたことが、トランプ氏の大勝要因のすべてある。米国民がトランプ氏を積極的に支持したのではないことは明らかだ。いつだったか、イスラエルによるパレスチナ蹂躙に抗議する人の意見が新聞に載った。抗議者は「バイデンはNOだ!」と言っていた。トランプ氏が大統領になれば更なるイスラエル加勢政策をとるだろうに「それでも今のバイデンはNOだ!」
バイデン政権下の物価高に国民の不満が高まっていたことが、反バイデンの主因のように言われている。もしそれがトランプ氏へ票が流れた原因であれば、トランプ氏がこれから打ち出してくるであろう政策によって、物価は下がらないどころか、大きく上昇するだろうから、物価を下げて暮らしをよくしてもらいたいという理由のトランプ支持は、皮肉にも更なる物価高という逆の結果をもたらすことになる。そんなことは普通に経済に関する知識を持っていればわかることだ。物価高が不満で反バイデン票をトランプ氏に投じた人たちは、こんな経済常識さえ知らない人たちのようだ。あるいはバイデン氏への反感だけで、トランプ氏の主張の意味するところも理解せずに、トランプ氏に票を投じた?そもそもバイデン政権下の物価高は、コロナやロシア・ウクライナ戦争の影響もあるが、発端は前回のトランプ政権の輸入品に課する関税の大幅引き上げである。殊に中国敵視政策による中国からの輸入品関税を、トランプ氏が大幅に引き上げたことが、バイデン政権下の物価高の発端である。バイデン氏はそのトランプ高関税を引き継いだけである。中国からの輸入品でハイテク製品やコンピュータソフトなどは、中国のスパイ作戦に使われるからという理由で、あれもこれも輸入禁止になっている。米国での中国からの輸入品が占める割合は、日用品が圧倒的に高い。中国からの輸入品に60%も関税を上乗せすれば、米国消費者には更なる大幅な物価上昇が加えられる。バイデン政権より大幅な物価上昇となって、反バイデンでトランプ氏を推した人たちは、トランプ氏を大統領にしたことを後悔するに違いない。
FRBのパウエル議長はトランプ氏が指名した。バイデン政権で再任され、パウエル議長の任期は2026年5月までである。トランプ氏は選挙期間中パウエル氏を次回は指名しないと言っていた。FRBはFOMCで政策金利の誘導目標を前回0.5%今回0.25%と連続して引き下げた。政策金利引き下げはトランプ氏の最も望むところである。。トランプ氏は更なる金利引き下げを強硬に主張するだろう。トランプ氏の政策で物価は上昇に転じるのは間違いない。物価上昇下で金利を引き下げれば、物価上昇を加速させる。FRBは今後、政策金利をどうするかの判断で困難を極めるだろう。バイデン政権を物価上昇による不満で、トランプ政権に変える選択をした国民は、全く皮肉にも、バイデン政権下の物価上昇よりもひどい物価上昇に遭遇することになる。