コマーシャルが煩わしくて民放のテレビを全く見なくなってから15年以上経つ。インターネットでニュースを見るようになってからテレビを見ることはほとんどなくなった。自然災害が身近に迫っていない限り、私にとってテレビは不要である。テレビを見ていると自分の頭で考えることができなくなる。世界の大きな流れを知るために新聞は読むが、1週間ほどまとめて読むことにしている。そうすると流れがわかる。世の中の流れに取り残されると強迫観念に取りつかれて、一日中テレビやラジオをかけたままにしている人を見ると、気の毒になる。何かしゃべっているものを聞いていないと孤独感に襲われるような人もいるようで、気の毒で仕方がない。そういう人はおそらく自分というものがないのだ。大きな出来事は、その影響が1日で終わることはない。テレビにかじりついていなくても、いずれ耳に入る。それから行動して手遅れになることなどほとんどない。
2022年8月8日と2023年5月15日のNHKの世論調査の記事がある。世論調査の方法は「3日間全国の18歳以上(2022年8月の調査は18歳以上の男女となっている)を対象にコンピュータで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。」 2022年8月の世論調査の結果は、調査の対象となった2577人のうちの48%にあたる1223人から回答を得て、岸田内閣支持は46%、不支持は28%だった。支持する理由は「ほかの内閣より良さそうだから43%」「支持する政党の内閣だから24%」「人柄が信頼できるから15%」など。支持すると答えた人の割合は、岸田内閣発足後最低となった、とのこと。支持しない理由は「政策に期待が持てないから35%」「実行力がないから28%」「支持する政党の内閣でないから20%」など。 一方2023年5月の調査対象者は2539人、回答者は48%にあたる1225人。岸田内閣支持46%、不支持31%。先月の調査より支持が4ポイント上がって、不支持が4ポイント下がった、とのこと。支持する理由は「ほかの内閣より良さそうだから45%」「支持する政党の内閣だから22%」「人柄が信頼できるから13%」。支持しない理由は「政策に期待が持てないから50%」「実行力がないから20%」「支持する政党の内閣でないから11%」など。 この世論調査で笑ってしまうことは、岸田内閣を支持する一番の理由が(内閣の世論調査ではいつも同様だが) 「ほかの内閣より良さそうだから」という回答である。ほかの内閣?などどこに存在するのか!ほかの内閣とは過去の内閣のことなのか?菅内閣や安倍内閣のことなのか?誰かを仮定した架空の内閣のことなのか?野党の仮定した内閣のことなのか? 設問に対するこのような回答の選択肢を用意する方もどうかしているが、そのように答える人も普通ではない。おかしいと思わないのか? 支持する理由に対して不支持の理由は明快だ。 岸田内閣を支持する主要な理由が「政策に期待が持てる」「実行力がある」という積極的な理由ではなく、「ほかの内閣より良さそうだから」という意味不明の回答であることが、国民の自民党政権に対する評価を明瞭に表している。この世論調査の意味するところは、他がないから自民党政権でも仕方がないという消極的な理由で自民党政権を支持しているということだ。自民党の内閣だからと支持する人は20%程度なのがそのことを裏付けている。回答率が二回の調査でほぼ同じ50%以下である。50%くらいいる投票棄権者は世論調査にも回答しないということだ。50%以下の回答率の世論調査に意味があるのか?詐欺電話が横行して、NTTなどは一定の基準でナンバーズディスプレイを無料で提供すると言っている昨今である。我が家のように留守番電話設定にしている家は多いだろう。それは回答率が50%以下の原因の一つだろう。回答する人は選挙に関心を持っている人だろう。5月の世論調査の中身が9か月前の世論調査の中身と支持率においてはほとんど変わらず、支持理由もほとんど変わらないのは、同じような考えの人だけが回答しているからである。