テレビ・新聞・ラジオなどで報道されるニュースは、日々世界中で無数に起きている出来事の中から、そのメディアの編集者が選んだ事柄である。したがって編集者の意向が反映されたものであり、客観的ではない。政権に忖度する編集者は、政権に都合の悪いことは、できるだけ報道しないようにする。そんなことは当たり前だ。しかしその当たり前を頭に浮かべて、ニュースに接している人など、一般人ではほとんどいないだろう。思考しながらニュースに接するのは頭が疲れる。日本国民のように物事を批判的に見る習慣のない人々は、報道される出来事の反対のことを想像してニュースに接することなどできないだろう。批判的にニュースに接するには、訓練が必要であり、日本の教育はそのよう訓練をしたことがない。日本の民主主義と言われるものは、第二次世界大戦で敗退し無条件降伏した結果、米国から押しつけられたものである。国民みずからが、戦い取ったものではない。大戦中軍部の意向に逆らった人々は、徹底的に弾圧された。弾圧に屈せず主張を曲げなかったのは、日本共産党だけであると言ってよい。もし日本が四方を海に囲まれた島国ではなく、大陸と地続きであったなら、軍部の弾圧を他国に脱出して逃れることができた人々が多数いただろうから、軍部に対する抵抗勢力が、敗戦後に戻って、日本の民主主義も勝ち取られた民主主義になっていただろう。そうであったなら、日本が今のような「民主主義もどき」になっているはずはなかっただろう。英国は日本と同様に、米国になんでも追随するしか能のない政権の国であるが、国民の良識が、日本と大きく異なる。日本のように良識のはたらかない国民と違って、英国民は民主主義を苦闘の末に勝ち取った歴史的背景に支えられた良識を持っている。いくつか例を挙げれば、新型コロナが猛威を振るっていた渦中、酒宴パーティを何度も開いていた首相を辞任に追い込み、その後任の首相が富裕層減税を打ち出したら、たったの50日で辞任させたことなどがある。
チャットボットや画像生成AIの話題が、メディアを賑わしている。ビジネス面でのAIの活用が前面に出ていて、ビジネス面よりはるかに重要なAIの軍事面での活用の実態を、メディアはほとんど報じていない。ドローンは戦争で頻繁に使われてきているが、しばらく前までは遠隔操作型であった。現在使われているドローンは遠隔操作など必要ではなく、画像認識と自動操縦のソフトを搭載して、ドローン自ら判断し飛び回る自律型にとって代わられている。今ではドローンは自律型殺人ロボットである。標的を学習させて攻撃させる。すでに特定の組織の要人暗殺に使用されて、成果を上げている。米国は、AIだけによる戦闘機の無人飛行に成功したと発表した。AIだけによる無人の戦闘機編隊ももうすぐ出現するだろう。早々に、戦争はAIを積んだ機械同士の戦いになる。米国が日本をはじめ同盟国を引き込んで、中国への半導体供給阻止に血眼になっているのは、中国の軍事面でのAI活用の進展をなんとしても阻止して、自国の軍事面での優位を守りたいためだ。いずれ自律型ドローンはテロリストにも使用されるようになり、それを防ぐことは不可能だろう。テロリスト集団のこれまでの人間自爆攻撃が、自律型ドローン攻撃にとって代わるのはすぐ目前である。