ウクライナの天秤外交2023年5月21日

手元にある2013年12月19日付の新聞に、「ロシアのプーチン政権がウクライナに150億ドル(約1兆5400億円)の支援をすることで合意した」とある。ロシアに配慮してEUとの関係強化を棚上げにしたウクライナのヤヌコヴィッチ政権に対し、見返りの支援を提供したということだ。ウクライナの近年の歴史を見ると、米国、EUとロシアをはかりにかけて、双方から支援を引き出す天秤外交をしてきたようだ。それはそれで賢い国のふるまいで、今回のような馬鹿をやらなかったから、国民にとって良いことであった。ウクライナの大統領が、最近あちこちの国際会議に出席しているのは、支援の引き留めを図ってのことだろう。米国やEUの中の国々の支援が減少すれば、ウクライナ軍はたちどころに窮地に陥る。援助があるから攻勢を維持していられる。日本のメディアは触れないようにしているので日本国民は知らないようだが、ウクライナに支援している国々では、自国の政権が巨額の援助を続けていることに対して、いつまで援助し続けるのか、という批判が沸き起こっている。ウクライナの大統領が頻繁に国際会議に出ているのは、そういった批判に対する焦りからだろう。援助国にも資金の限界があり、援助国の国民の忍耐にも限界があるから、いずれそう遠くなく戦争終結へ動いていくだろう。米国も大統領選挙準備の時期に入ってきた。ロシアウクライナ戦争で一人勝ちの大儲けをしてきた米国の現政権としても、国内を重視した戦術を取らざるを得なくなるから、引き続き巨額の援助をし続けることはできなくなるだろう。そのことも戦争終結に向かう要因となる。

日本は先の大戦で米国に戦争を仕掛けた国であり、米国は日本から戦争を仕掛けられた国である。戦争を仕掛けられた国が、戦争を仕掛けた国に謝罪する道理がないのは子供にでも解ることである。日本国軍は広島、長崎に投下された原子爆弾の破壊力を見て、日本の軍事力の圧倒的な劣勢を自覚せざるを得ず、まったく勝ち目がないことを認識し、無条件降伏を受け入れざるをえなかった。一億総玉砕と洗脳されていた国民は呆気にとられたことだろう。広島長崎への原子爆弾の投下が、日本の米国やアジア諸国に対する侵略戦争を終わらせる決定的な契機になったのである。NHKの報道などを見ていると、米国が勝手に原子爆弾を投下したように思えてしまうが、それは事実ではなく、メディアは事実を歴史的背景と共にまともに報道すべきだ。日本国軍が朝鮮半島を侵略し植民地にしたのであって、朝鮮半島の国が日本に攻め込んできたのではないのだ。

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