米国が円安政策を容認しているわけ2023年10月14日

日本のあからさまな円安政策を米国が容認しているのは、米国債の世界最大の保有国である日本が、円安で稼いだ金で、引き続き米国債を買い続けると約束しているからだろう。米国債保有で日本と1~2位を争う中国は、米国との関係の好転は望むべくもないから、リスクを減らすために、米国債保有を今後とも徐々に減らしていくのは明らかだ。最近、米国財務長官が中国を訪問したのは、その辺の動向を探る目的もあったのだろう。いや、あったのだろうなんてものではなく、訪問目的の8割くらいが中国の米国債売りのセンチメントを知ることだったのではないか、と私は推測している。中国が米国債保有を急激に減らせば、米国どころか世界が大混乱に陥るのは必定だ。中国が米国債を売っても、米国債を買いたいところは山のようにあるから、中国の米国債売りは何ら脅威とはならないと主張する者たちがいる。それは、数年前まで続いていた量的緩和時の、政策金利が0にへばりついていた時であれば言えるかもしれないが、現状の5%を超えている中で、中国がほんのちょっとでも米国債保有を減らすと言明でもしたら、大混乱になるのは火を見るより明らかだ。中国が徐々に減らす分の肩代わりとして、日本に米国債を買ってもらいたいと、米国が要求しているのは自明のことだろう。円安政策容認と米国債購入拡大をセットにしているから、米国は円安政策を黙認していると考えるのが妥当だろう。米国は当面、膨大な国債を発行し続けなければならない状況である。日本を為替操作監視対象リストから外したのも、日本の米国債購入拡大を確実に実行してもらうための念押しだろう。

ドル円相場は1ドル149円付近で膠着状態である。150円を超えて円安が進まない理由を、円安介入警戒のためとマスコミは金太郎あめのごとく繰り返している。日本の財務大臣は相変わらず、過度の為替変動は好ましくなく、状況に応じて適切な対応が必要、なんて表向き外交辞令を繰り返し言っているが、円買い介入はしたくないという本音が透けて見える。したがって150円を超えて、1日に3円や4円、円安に振れない限り円買い介入はないと言ってよい。じり安状態では介入はしないだろう。円買い介入しない理由の一つは、円安による物価上昇が、日本国の1000兆円を超える借金を減価させることになるからである。政権維持のため、自民党政権が選挙のたびにばらまいた金が積もり積もって、もはや返済できる可能性がない。インフレにして借金を減価させることくらいしかできることはない。そんなことは、為替取引を商売にしている連中にはイロハであろうが、大きく円売りポジションをとる勇気はないようだ。円買い介入で円が戻ったところで、4~5円が関の山だ。戻ったところで円売りポジションを大きく取ろうとしているのかもしれない。私がプロの為替プレーヤーならその時を手ぐすね引いて待っている。日本における為替取引において、個人の割合は、大きく増えて2割ほどになっているようだ。個人の取引動向が、為替変動にかなりな影響を与えていると言われるのも無理はない。個人の取引は、いわばへっぴり腰で行われているようなもので、今の膠着状態はその表れだろう。いつの日か、円にしがみついていたら円がどんどん減価していって、円を持っていては、さらに貧しくなるだけだ、と富裕層以外の大多数の国民が気づく時が来るだろうか?斜陽国の日本の円が1ドル70円台に戻ることなど絶対にない。ひたすら減価する円ではなく、米国ドルや欧州ユーロなどの外貨で持っていないとますます貧しくなるばかりである。安い食料品を求めて、スーパーやドラッグストアーを走り回ることでは生活が維持できないと悟ったときでは手遅れである。安いはずの安売り店でさえ、命をつなぐ食品が2割3割、ざらに値上げされているのに気づいていない消費者がいるだろうか?政府の発表する物価指数なるものは、ただでさえ帰属家賃という不可解千万なものによって引き下げられて3%程度の物価上昇になっているが、誰がそんな数字を信じているか?円買い介入しないもう一つの理由は、自民党政権の支持基盤である大企業、殊に海外展開している大企業の利益が、円安政策のおかげで、労せずにして大幅に拡大していることである。円安政策のおかげで、収益が急拡大していれば、そのお礼として、自民党への献金を増やしてもいいだろうと、まともな企業なら考えるだろう。私が円安政策の恩恵を受けている大企業の経営者なら、一も二もなく献金を増加させるだろう。いくら何でも人為的な円安効果による濡れ手で粟の利益を、独り占めするというのは、居心地が悪すぎる。誰のおかげで大幅増益になっているのかと、党として献金を増加せよと要請してもおかしくない。持続的な円安は、物価上昇によって増税と同じ結果を引き起こし、生活を破壊させていく。富裕層でない大多数の国民は、最低限でもそのくらいなことは知るべきである。

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