無理が通れば道理がひっこむ日本 2024年8月10日

円安によって引き起こされている物価上昇で、苦境に立たされているのは、政権を批判する能力のない国民の過半と同じく政権を批判する能力のない、海外に展開する資力のない日本の企業の過半数をはるかの超える中小企業である。どうせ文句を言う程度が関の山で、押し通せば従うしか能のない国民だと自民党政権や日本銀行はわかっているから、円安政策を続けてきた。さすがにあまりにひどい円安による物価上昇で、商工会議所の会頭まで現状の極端な円安は困ると言い出した。あちらこちらからの円安政策批判が目立つようになって、とりあえずマイナス金利を解除した。欧米諸国は物価上昇を阻止しようと政策金利を引き上げた結果、物価上昇が収まってきたので、ECBは利下げを始め、FRBも9月利下げ確実の状況である。日本銀行は、円安は悪いことではないとのたまう人が総裁だから、円安を止める気などさらさらないが、円安の弊害を憂う声が日増しに強まってきて、何かをする振りでもしなければと日銀は追い立てられはじめた。円安政策で利益を水増ししている物言う大企業が減益になる円安の逆行は、円安で労せずして大増益になっている大企業からの献金が増えている自民党政権には献金の減少要因だ。自民党政権は裏金が暴露されたてまえ、物価上昇に対処しなければ、次の選挙で政権の座から転落するとの恐怖感が出てきて、何回か円買い介入をしてきたが全く効果がない。そこでほんの少し金融を引き締めてみようかと相談していたところに、デジタル大臣が、利上げして円安を止めろと、日銀にとって寝耳に水の発言をした。マイナ保険証強行で不評を買っているデジタル大臣が、国民の過半に渦巻いている物価上昇への不満に乗じて、得点を稼ごうとしたに過ぎないが、日銀は慌てふためいた。親会社の自民党政権に忖度して、円安政策をとっているのに、自民党政権の閣僚から、利上げして円安を止めろと言われたものだから、日銀には青天の霹靂だったに違いない。円安を止める振りをして、もたもたしていた日銀は、政策金利の誘導目標を0.1%程度から0.25%程度に引き上げた。これには私は笑い転げて椅子から転げ落ちそうになった。日銀の実態が白日のもとにさらされた。円安物価引き上げが唯一の原因の国民の過半の生活の苦境など日銀には全く関心がないが、タッグを組んでいる自民党政権の閣僚の発言は、無視できないという日銀の姿勢が、今回の政策金利の引き上げで、過半の国民には分かっただろうか? 円安だけが頼みの綱の日本企業の増益は、円安が逆行し出せば即座に減益に転換する。株価が史上最高値を更新し続けたのも円安だけが理由であったから、政策金利誘導目標の引き上げによる円安の逆行は、途端に日本株売りを引き起こし、日経平均は、あっという間に25%ほど下落した。円がドルに対してたったの10%程度戻ったに過ぎないのに、である。自民党政権や円安のおかげで史上最高益を更新し続けている大企業、株式保有で大儲けしている富裕層からの株価下落に対する一斉攻撃にあって、慌てふためいた日銀は、副総裁に、市場が大幅変動しているときには利上げはしないと言わせて、必死になって株価下落を止めようとした。その効果があって株価は上昇し、下落は小休止の状態となっている。円が1ドル110円から160円に50%ほど変動しても、1ユーロ125円が170円に40%ほど変動しても、それらは大幅な変動にあたらず、日経平均株価が42000円から32000円に25%程度下げただけに過ぎないのに、副総裁は、大幅変動中は利上げしないなどとのたまわった。あるメディアなどは、日銀のたった1週間でのタカ派からハト派への転換などと言っていたが、日銀にはもともと利上げする意思などないから、見当はずれもいいところだ。円が160円から145円程度に戻ったのは、大幅安の反動に過ぎない。株価が42000円から32000円に下落したのも、円安が原因の大幅高の反動である。当たり前のことが起きただけに過ぎない。

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