購読している新聞は、比較的妥当な記事を載せている新聞であるが(だから購読している)、終戦記念日に合わせて、社説面で、満州引揚者が敗戦日以後にソ連兵によって凌辱された家族の話を載せていた。その記事を何も考えず読む人は、日本人は唯々戦争の被害者なのだと思ってしまう。ロシアのウクライナ侵略にだぶらせて、旧ソ連、今のロシアをことさら悪人に仕立てようと意図しているとまでは言わないが、全くの片手落ちだ。日本の第二次世界大戦についての論評で、比較的妥当な論評をしているメディアにしても、共通して欠落していることは、日本が大陸を侵略して占領したのであって、大陸の国々が、日本を侵略して占領したのではないという周知の事実を一緒に論評しないことだ。満州引揚者の悲劇は、日本が侵略し占領した満州で起きたことで、満州に行ってなければ起きなかったことだ。なぜ占領地に行ったのか。我が家系は占領地に行ったことがないどころか、行く機会さえ全くなかったが、そのような家系のほうが圧倒的に多かったはずだ。日本軍は米軍の原子爆弾投下によって無条件降伏を受諾させられ敗戦したのであって、余力を残して和議したのではない。戦勝国が敗戦国に、勝って放題の行動をするのは、戦争の常であって、米軍も日本で日本人家族に凌辱をしたのは火を見るより明らかだ。その事実が表に出てこないのは、無条件降伏して、米軍に占領されたからである。片手落ちと言ったのは、日本軍が大陸を侵略して占領したのだから、日本軍による、あるいは占領地に出ていった日本人によって、凌辱された家族は、ソ連兵によるそれよりもはるかにはるかに多かったはずで、日本軍および大陸侵出者によって凌辱された大陸の家族を取材して、同時に論評するのが当然で、そういう当然の努力をしていないから片手落ちと言ったのである。何が根本かを考慮せず、事実だけを羅列しているだけのメディアの論評など、論評に値しない。