展望 中国  2023年12月31日

中国は残念ながら私の期待からますます離れていくようだ。私の読みは楽観的過ぎたし、期待しすぎたようだ。改正反スパイ法が今年7月1日施行された。密告が奨励されたりしていて、その先に、かつて先の世界大戦中に日本で行われた弾圧さえ想起される。来年1月1日に愛国主義教育法が施行され、当局は学校教育の全プロセスで愛国主義を徹底する、としている。中国の国家主席の任期は憲法により1期5年、連続2期までとされていたが、2018年の憲法改正で再選回数の制限が取り払われ、任期無制限となった。その憲法改正を行ったのが習近平政権であり現在3期目である。国家主席の任期が無制限となったとき、おかしいな?中国の進む道が従来の路線から外れてきたようだ、と感じたが、その通りの展開になってきている。今こんな思いが脳裏に去来する。「ラストエンペラー」で知られる愛新覚羅溥儀が皇帝を退位したのは1945年である。溥儀が皇帝を退位するまで、中国では秦の始皇帝から始まって、連綿と皇帝支配が続いてきた。中国人には、皇帝のような独裁者を志向する習性があって、習近平政権にも表れているのではないか。国民の思想や行動を一定の方向に締め付けるのは、独裁政権の特徴だ。自らの政策に国民がついてくる自信があるならば、国民は国家に従え、的な政策を強制する必要などない。権力で強制しようとするのは、国民の支持に不安を抱えているからだろう。11月の中国人民元の決済シェアは10月の3.6%から、これまでで最も高い4.6%に上昇し、円の3.4%を超え世界4位となった。しかし米ドルのシェアが47%もあり、ユーロが23%、英ポンドが7.15%それに続くたったの4.6%でしかない。中国のするべきことは、米ドルの世界支配終わらせることであり、そうしなければ米国の独裁的な世界支配が終わることはない。そのためには人民元決済シェアを少なくともユーロ並みに高めることが絶対条件だ。そのような方向で中国は進んでいくだろうと予想してきたが、私の予想は大きくはずれてしまった。独裁政権では進歩が止まる。国民の創意がくじかれ、国家は停滞する。スパイ密告が奨励され、国民が足の引っ張り合いをする国が発展することは絶対にない。歴史が証明していることだ。中国が米国のGDPを抜くことなどはるか遠くにかすんでしまった。米国は国民の創意を発揚する国だ。中国の今の傾向が続く限り、中国が米国と肩を並べることなど夢のまた夢でしかない。中国政府が8月下旬に発表した新しい国土地図では、南シナ海の約90%を覆う広大な海域が中国のものとされ、フィリピンやマレーシアなどの排他的経済水域内まで中国領とされている。インドが実効支配するアルナチャルプラデシュ州の係争地も中国領になっている。マレーシアは、地図の内容を認めないとし、ベトナムは中国の主張には何の価値もなく拒否するとし、インドはばかげたことだと主張している。フィリピンとは毎日のように海洋領土争いを繰り返して,フィリピンを米国側にわざわざ追いやっている。地元を支持国で固めて、勢力を伸ばしていくのが常道なのに、今の中国のしていることはその反対で、東南アジア諸国を米国側に追いやることに熱心だ。全く信じがたいことをしている。現体制の保身に奔走しているように見える現在の中国は、全くもって残念至極である。

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