展望 アメリカ  2024年1月2日

ここへきてトランプ氏の予備選出馬に待ったがかかり始めた。メイン州がコロラド州に続き、出馬を禁止する決定を下した。連邦最高裁判所で最終判断が下される予想だ。ただトランプ氏は共和党の候補指名争いで圧倒的にリードしている。トランプ氏は大統領になって、現在起こされているあらゆる訴訟を自分に有利にしたいから、最後の最後まで大統領選に固執するだろう。トランプ氏が大統領になれば、報復人事で混乱するだろう。良いことなどまったくないように思えるが、共和党内はそうではないようだ。かたやバイデン氏は、民主主義を守るためと出馬理由を表明しているが、民主主義を守るためなら、自身が出馬を取りやめ、いくらでもいる民主党の人に候補者を譲ることが、最良の選択である。そんなことは当人が一番わかっているのではないか。それでも出馬に固執しているのは、訴訟を起こされている息子の裁判に、大統領としての隠然たる影響力を及ぼして、裁判を有利に進めたいのだろう。バイデン氏に気兼ねして、大統領選に出馬する人が出てこない民主党という政党も、所詮、犯罪容疑者を大統領に推す共和党と同類といったところか。 3月以来、「シリコンバレー銀行」、「シグナチャー銀行」、「ファーストリパブリック銀行」が破綻して一時騒然とした市場も、FRBの国債額面評価による貸し出しの効果で、大山鳴動して鼠一匹で終わった。政策金利が0~0.25%から5.25~5.5%に急激に上昇したにもかかわらず、たったの3行くらいの破綻で終わったのは、FRBの国債額面評価による貸し出しが強力に効いた結果だろう。リーマンショックの金融危機で、金融政策当局が学んだ最大のことは、金融市場に異変が起きたら、直ちに市場に大量のカネをばらまくこと、ということである。その政策がこれまでのところ功を奏している。金利上昇の影響は、遅れて出てくる。借金の借り換え時に、影響が出てくるので、これからが本番である。どう市場が動くかは、今年最大の私の関心事である。

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