自民党の総裁に石破氏が選ばれたとき、小泉政権の再現や安倍政権の再現にならず、とりあえずよかったと思ったのもつかの間、石破氏は総裁選で言っていたことを次々と覆して、あっという間に言行不一致人間に変身し、信ずるに足りない人となった。10月6日付東京新聞本音のコラムの前川喜平氏によれば、石破氏は日本における人権とは国が国民に与える権利だと言っていたとのことである。徳川時代に逆戻りしたかのようなあきれ返る思考である。自民党政権は国民を幸福にしない政権だと十数年前から確信していたが、石破氏のような思考であれば当然の帰結であろう。
「官とは何ぞや、本これ人民のために設くるものにあらずや。今や乃ち官吏のために設くるものの如し、謬れるの甚しといふべし。人民出願し及び請求することあるに方り、これを却下する時はあたかも過挙あるものを懲らすが如く、これを許可する時はあたかも恩恵を与ふるものの如し、何ぞそれ理に悖るの甚しきや。彼ら元来誰れに頼りて衣食する乎、人民より出る租税に頼るにあらず乎、乃人民の豢養を受けて、以て生活を為しつつあるにあらず乎。およそ官の物金銭に論勿く、一毫といへども天より落つるにあらず地より出るにあらず、皆人民の嚢中より生ぜしにあらざる莫し。即ちこれ人民は官吏たる者の第一の主人なり、敬せざるを得べけんや。」
「わが邦人は利害に明にして理義に暗らし。事に従うことを好みて考ふることを好まず。それただ考ふることを好まず、故に天下の最明白なる道理にして、これを放過して怪まず。永年封建制度を甘受し士人の跋扈に任じて、いはゆる切棄御免の暴に遭ふもかつて抗争することを為さざりし所以の者、正にその考ふることなきに坐するのみ。それただ考ふることを好まず、故におよそその為す所浅薄にして、十二分の処所に透徹すること能わず。」 中江兆民 一年有半 岩波文庫
国会議員もまた然り。国民の税金で食っているのに、国民過半の意見を無視し、生死に直結する保険証廃止を強行するとは何事ぞ!
日本国民が考えない国民であるのは120年前と何ら変わらず、その結果も変わらず。ドイツ国民のように過去から学ばないのはどうしてなのか?