今年見たドラマで強烈に印象に残ったドラマが二つある。一つは以前感想を述べた韓国ドラマ「カーテンコール」である。2016年の「ファンタスティック」以来の夢中で見たドラマになった。もう一つは中国ドラマ「君、花海棠 の紅にあらず」である。豪商、程鳳台(チョン・フォンタイ)と京劇役者、商細蕊(シャン・シールイ)の友情を描いたドラマである。京劇のドラマだと知って、単調で面白みのないあの京劇か、程度の知識しかない私は、当初見たいとは全く思わなかった。それが「瓔珞(エイラク)」のプロデューサーの于正(ユー・ジョン)が手掛けた作品と知って、ちょっとだけ見てみようという気になった。見始めるとなんと、目が離せなくなってしまった。尹正(イン・ジョン)演じる商細蕊の演技に、ぐいぐいと引き込まれてしまった。なんたることか!男優の演じる女形に魅了されてしまうとは!我ながらあきれてしまった。このドラマの圧倒的な魅力は、商細蕊の演技である。能面のような表情の中に表情がある。その表情に魅了されてしまった。このドラマの残念なところは、35話で付き人の小来(シャオライ)が殺されてしまうことである。それまで10点満点の9点であった私の評価は6点に急落してしまった。これは全く必要のない筋だ。話の流れに驚きを見せようとして急遽作られた筋のようで、全くいただけない。それまでのドラマの魅力をぶち壊してしまったように感じた。こういう人を殺してはいけない。献身的に商細蕊につくす、けなげな小来は、とても魅力的な女性であった。小来が消えた以後のドラマは、最終話まで以前の魅力を感じることなく見終わった。