円相場がNY市場で一時141円まで上昇したのには驚いた。日銀総裁が国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したことに反応したと言われている。日本の首相も日銀総裁も口先だけということが、外国人にはわかっていないようだ。年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる?そもそも何か意味のある言葉なのか?円を買い持ちにしている連中は、何とか円が上昇してほしいと願っているわけで、まして年末なので利益を上げたい一心で、日銀総裁の無意味な言葉を取り上げて、SNSで円安政策変更か!なんて拡散させたのだろう。ロボット売買だから、一方通行となって一気に買いが入ったのだろう。すぐにばかばかしさに気づいた向きの売りが入り、145円近辺まで下げた。為替売買を商売にしている連中は、相場が動かないと利益を上げられない。このところ150円近辺で膠着状態なので利益にならないから、相場変動を画策したといったところだ。FRBは政策金利を今以上に引き上げるつもりはないようだ。米国金利上昇にうち止め感が出てきて、利下げを心待ちにしている連中が、来年の上半期にも利下げが開始されると喧伝して、円が少し戻り出した状況だったから、円上昇を誘うには好都合な状況だったということだ。自民党政権、日銀にとって円が上昇したのでは困るから、すぐに日銀総裁の発言には、特別意味はない、なんて話が出て、早晩150円近辺に戻るだろう。日本企業の増益も、日本の株式相場の上昇も、円安だけが理由であるから、円が上昇しては困るのだ。米国雇用統計が市場予想よりも幾分景気の強さを示したので、そのことも円安に戻る要因になるだろう。