九条の会 2024年10月19日

九条の会主催の講演会に行った。九条の会は加藤周一さんが中心になって作った会である。こんな田舎町に九条の会があるとは思わなかった。朝日新聞、毎日新聞、東京新聞の後援で、以前購読していた新聞には折込チラシが入らなかったから気付かなかったのである。一人でも参加者が多いほうが良いと思って行ったのだが、杞憂であった。会場はほぼ満員であった。20歳代後半に加藤さんの著作を夢中で読んでいた時期があった。加藤さんを知ったのは、大江健三郎さんのエッセイ「持続する志」からであった。加藤さんの著作で最初に読んだのは、岩波新書「羊の歌」であった。その文章の魅力にすっかり虜になってしまい、加藤さんの本を次々と読んでいった。 九条の会で寄付を募っていた。会を維持していくには当然費用がかかる。まして九条の会のような地味な会では寄付も集まらないだろうと思って、寄付しようと思ったが、1000円にしようか2000円にしようか迷って、封筒に出し入れしていたら、受付のおばさんがやってきて、2000円を入れた封筒を持って行ってしまった。情けないことにこのざまである。円安増税国民窮乏化政策による破格の物価上昇で痛めつけられ、エンゲル係数が70%にも達する者には1000円の価値がよくわかる。しかし今どき1000円ではなんの足しにもならないだろうと思って2000円にしたが、自分が寄付をもらう立場であったら、たったの2000円で何を迷っているのかと思っただろうなんて考えが頭に浮かんだ。寄付を入れる箱を持って、申し訳なさそうに出口に立っている老人の方を見て、会を維持するのに苦労しているのだろうな、と思った。何か私にできることはあるかな、そんな気持ちを抱いて会場を後にした。

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